2、利息の払い過ぎってどういうことですか?
利息制限法は利息の上限を次のように定めています。
元本が10万円未満の場合 ------------- 年2割(年率20%)
元本が10万円以上100万円未満の場合 -- 年1割8分(年率18%)
元本が100万円以上の場合 ------------ 年1割5分(年率15%)
しかし、平成18年の出資法改正までは、消費者金融等は、年29.2%(うるう年29.28%)の利率まで罰則を設けられていなかったため、高い利息を設定していた業者もありました。それでも利息制限法は適用されます。
破産の場合、免責決定すれば、税金等の一部を除き、原則としてすべての債務を免れることができます。そのかわりに自宅を含め、破産者のもっている財産をすべて清算して債権者への弁済に当てなければなりません。
一方、
民事再生手続は、債務を5分の1に圧縮することができます。(最低100万円)この際、
住宅ローンを従来通り支払うことにより、自宅を持ち続けることも可能となります。民事再生手続が認められるには、裁判所に確実にその金額の支払いができると判断されなければなりません。ですから、すべての人が利用できるわけではないのです。
また、事後の生活再建を考えると、思い切って破産をしたほうがいいケースもあります。「再生」という言葉はいい響きですが、本当の生活再建のためには、「破産手続」「民事再生手続」など、どの方法を選択するのがあなたにふさわしいか、一度、司法書士に相談してみたらいかがでしょうか。
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7、自動車を維持したまま債務整理する方法はありますか?
自動車は,
民事再生・任意整理では処分されませんが,高価な自動車の場合,自己破産では処分されてしまうのが原則です。ただし,自己破産の場合も,自動車を家族等の第三者に適正価格で買い取ってもらうことにより,自動車を事実上維持することが可能な場合もあります。
ただし,自動車をローンで購入し,そのローンの返済が残っている場合には,自動車の所有権はローン会社に留保されていますので,いずれの手続であっても原則として自動車は処分されてしまいます。
自動車の取扱いについては,自動車の価値,ローンの有無・残高,選択する手続によって異なりますので,司法書士に問い合わせることをお勧めします。
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8、借金を相続してしまった場合どうすればよいのでしょうか?
相続が発生した際に、
相続人がそれまで全く知らなかった被相続人の借金が発覚するという場合があります。
このような場合、相続人が借金を相続することになり、法律で決まった相続分(法定相続分)の割合に応じて返済しなければいけないということになります(借金は遺産分割の対象になりません)。
例えば、夫が100万円の借金を残して亡くなって妻と子供が二人いる場合、妻の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分はそれぞれ4分の1ですので、妻は50万円、二人の子供はそれぞれ25万円の借金を相続するということになります。
借金の相続を避けるためには、
相続放棄をするという方法があります。
相続放棄とは、被相続人の財産を全て放棄し、相続しないという方法です。被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に申述書を提出して受理されることにより認められます。
相続放棄は、
相続の開始を知ってから3か月以内にしなければいけません。ただし、被相続人に借金があることを知らず、知らなかったことについて相当な理由があると認められる場合には、相続開始から3か月以上経過していても、相続放棄が認められる場合もあります。
相続放棄をすれば、借金を相続しなくてすみます。しかし、亡くなった方が不動産などの財産を持っている場合には、財産も相続することができなくなります。
被相続人の持っている財産と借金のどちらが大きいかわからないような場合、
「限定承認」という方法があり、プラス財産の範囲内に限定してマイナス財産を相続するということができる方法です。
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9、相続人がら被相続人の生前の借金について過払い金の返済請求ができますか?
借金が高金利の消費者金融等や信販会社からの借入で、被相続人が生前に長期間に渡って借り入れと返済を繰り返していたような場合には、利息制限法による引き直し計算によって借金がなくなったり、
逆に「過払い金」が発生していることもあります。
この場合、
相続人から過払い金の返還請求ができることになります。実務上は、遺産分割協議をして、過払い金を相続する相続人から返還請求をすることが多いと思われます。
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10、親族が多重債務に陥っていますが,私が代わりに債務整理を依頼できますか?
債務整理は,
債務者本人の意思に反して行うことができませんので,親族の方であっても本人の代わりに債務整理を依頼することはできません。 なお,本人が高齢等により意識がはっきりせず,自分の意志で債務整理を依頼することができない場合は,親族の方が代わりに依頼することになるため,家庭裁判所に後見人として選任してもらうことが必要となります
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11、保証人をやめられますか?
保証というのは、保証人と債務者との間の約束ではなく、
保証人と債権者との間の約束です。ですから、お金を借りた債務者と保証人の関係がいくら疎遠になったとしても、勝手に保証人をやめることはできません。残念ですが、債務者が払えない場合、債務者の代わりに保証人が支払いをしなければなりません。
仮に債務者が破産したとしても、保証人は保証人となった責任を負わなければなりません。
逆に言えば、債権者の同意があれば、保証人を辞めることができます。但し、実際には、保証人をやめることについての同意を得るのは困難です。代わりの保証人を見つけたり、債務の弁済等を要求される可能性があります。
保証人になるように頼まれた場合は、最悪の場合、自分が支払わなくてはということを覚悟のうえ、慎重に考えてみてください。
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12、税金や年金,国保も債務整理の対象になりますか?
税金や年金,国保は,法律で
非免責債権とされているため,たとえ自己破産や民事再生を行っても,これらは一切免除・減額されません。
しかし,税金等の支払が一時的に困難な場合には,市区町村役場に相談すれば,支払方法の変更等に柔軟に対応してくれるケースがほとんどです。債務整理と併行してお近くの市区町村役場に相談することをお勧めする場合があります。
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13、債務整理を依頼した後に口座から引き落とされた場合にはどうすればよいですか?
自己破産・民事再生では,法律上一部の貸金業者のみに返済することは禁止されています(ただし,民事再生の場合に住宅ローンを返済することは可能です)。
毎月の返済を銀行口座からの引落しにより行っている場合には,引落しが継続しないようにその口座の残高を0にする必要があります。誤って引き落されてしまった場合は,依頼している司法書士
にお早目に相談ください。
任意整理では,一部の貸金業者のみに対する返済が法律上禁止されているわけではありません。しかし,すべての貸金業者を平等に扱うことが要求されていることは自己破産・民事再生と同様です。引落しが継続した場合,その引落し分は借金の総額から控除されることになります。
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14、給料の差押をされそうですが,回避する方法はありませんか?
法律上,
自己破産・民事再生の申し立て手続が開始された後は,強制執行をすることはできません。そのため,自己破産・民事再生を予定している場合には,できるだけ早急に手続をすすめる必要があります。
これに対し,任意整理の場合,自己破産・民事再生のように強制執行を禁止する法律上の制度は存在せず,強制執行を中止するかどうかは貸金業者の判断に委ねられています。
そのため,貸金業者とできるだけ早急に和解して,強制執行を中止してもらう必要があります。
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15保証会社から代位弁済の通知を受けましたが,何か手続に影響はありますか?
代位弁済とは,保証人等の第三者が,債務者(お金を借りた人)に代わって債権者(お金を貸した人)に対して返済をすることをいいます。代位弁済が行われると,代位弁済をした第三者が債権者の地位を引き継ぎ,債務者に対して金銭の支払を請求したり,抵当権等の担保権を実行することができるようになります。
そのため,保証会社が代位弁済をした場合には,保証会社が元の債権者の地位を引き継ぎ,新たな債権者となります。これにより,司法書士が発送する受任通知の送付先や,裁判所に申告する債権者が元の債権者から保証会社に変更されることになります。
なお,民事再生の場合で住宅を維持する場合,住宅ローンを保証会社が代位弁済した後
6ヶ月以内に,裁判所に申立を行う必要があります。そのため,
民事再生の場合,保証会社からの代位弁済には注意が必要になります。
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16、支払督促を受けた場合はどうしたらいいの?
支払督促は,申立人の申立内容だけを審査して,相手方に金銭の支払を命ずるものです。
申立人の請求金額は「請求の趣旨」の欄に,申立人の言い分は「請求の原因」の欄に書かれています。この支払督促に不服があれば,異議を申し立てることができます。異議を申し立てることができる期間は,支払督促を受け取った日の翌日から数えて2週間以内です。
異議を申し立てる場合には,支払督促に同封されている「異議申立書」という書面に所定の事項を書いて,支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか,直接持参するかしてください。異議を申し立てると,事件は,通常の訴訟手続で審理されることになります。
2週間以内に異議の申立てをしないと,支払督促に仮執行宣言が付されることがあります。仮執行宣言が付されると,直ちに強制執行を受けることがあります。
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17、仮執行宣言付支払督促を受けた場合はどうすればいいの?
支払督促は,申立人の申立内容だけを審査して,相手方に金銭の支払を命ずるものです。
支払督促に仮執行宣言が付されると,申立人は,直ちに強制執行手続をとることができます。
この支払督促に不服があれば,異議を申し立てることができます。その期間は,仮執行宣言付支払督促を受け取った日の翌日から数えて2週間以内です。異議を申し立てる場合には,支払督促に同封されている「異議申立書」という書面に所定の事項を書いて,支払督促を出した簡易裁判所に郵送するか,直接持参するかしてください。
なお,仮執行宣言の付されている支払督促に異議を申し立てても,執行停止の手続をとらなければ,強制執行を停止することはできません。
異議を申し立てると,事件は,通常の訴訟手続で審理されることになります。異議の申立てをしないと,仮執行宣言付支払督促の内容について,今後争うことができなくなります。
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18、少額訴訟の相手方になった場合はどうすればいいの?
原告は,あなたを被告として,少額訴訟手続による審理を求める訴訟を起こしました。あなたには,裁判所から訴状,口頭弁論期日呼出状,少額訴訟手続の内容を説明した書面等が送られたことと思いますが,それらの書面をよく読んでください。
少額訴訟手続は,特別の事情がある場合を除き,最初の期日において,当事者双方の言い分を聞き,かつ,証拠を調べて,直ちに判決を言い渡すのを原則としています。あなたが,このような,少額訴訟手続による審理を希望しない場合には,簡易裁判所の通常の手続による審理を求めることができます。その場合には,最初の期日において弁論をするまでに,訴訟を通常の手続へ移行させる旨の申し出をしなければなりません。なお,少額訴訟では反訴を提起することはできません。
あなたが,少額訴訟手続による審理に異議がない場合には,最初の期日の前までに答弁書を提出しておくと,自分の言い分を裁判所と原告に正確に伝えることができます。
あなたに届いた口頭弁論期日呼出状には,裁判が行われる期日が書いてありますので,その期日に,呼出状に記載された法廷に出席してください。
どうしても決められた期日に出席できない場合には,担当の裁判所書記官に御相談ください。なお,あなたが答弁書を提出しないまま,決められた裁判の期日に出席しない場合には,原告の言い分どおりの少額訴訟判決が出ることがありますので,御注意ください。
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1、破産宣告を受けると、どのような不利益がありますか。
破産宣告を受けると債務者は破産者となり、破産宣告の時に所有していた財産の管理処分権を失い、破産の手続に必要な限度で一定の自由の制限を受けます。
さらに、破産者は公法上及び私法上の一定の資格の制限を受けることになります。
もっとも、財産の管理処分権を失うといっても、生活に必要な家財道具等は従前通り使用することができますし、破産宣告後に破産者が得た収入は原則としてすべて破産者が自由に使うことができます。
また、管財人が選任されない同時廃止の場合は、財産の管理処分権を失ったり、自由の制限を受けたりすることはありません。さらに、公法上および私法上の資格の制限を受けるといっても、選挙権や被選挙権が停止されることはありませんし、これらの制限も免責決定がなされることで解消されます。
破産宣告を受けても、そのことが戸籍や住民票に記載されることはありません。
本籍地の市町村役場の破産者名簿には記載されますが、第三者がこの名簿を見ることはできませんし、免責決定がなされれば、破産者名簿から抹消されます。また、破産宣告は官報に公告されますが、一般の人が官報で破産宣告を知ることはまずないでしょう。
免責決定がなされれば、破産者は復権し、破産者ではなくなります。しかし、破産宣告を受けたことにより信用情報機関に登録され、以後数年の間は借り入れをしたりクレジットカードを使用したりすることができなくなります。また、一度免責決定を受けると、以後7年間は原則として免責決定を受けることはできません。なお、任意整理や個人再生では破産の場合のような不利益はありませんが、信用情報機関に登録され、以後数年間、借入ができなくなることは破産の場合と同じです。